2026-09-11
知らないと損する、垂れた胸を改善する乳房吊り上げ術(マストペクシー)|今すぐ知っておくべき全知識
出産や加齢によるバストの下垂を改善する「乳房吊り上げ術(マストペクシー)」。本記事では原因、下垂度合いに応じた切開法(乳輪周囲・垂直・逆T字)、ダウンタイムや注意点、豊胸術との違いを分かりやすく解説します。


最近、乳房吊り上げ術(マストペクシー)に関するカウンセリングが着実に増えています。出産や授乳、急激な体重変化、あるいは加齢によって下垂したバストに悩む方は想像以上に多くいらっしゃいます。単に見た目の問題にとどまらず、自信や日常生活の満足度にも関わる部分であるため、正確な情報をもとに慎重に判断することが大切です。
本記事では、乳房吊り上げ術とは何か、どのような方に適しているのか、手術方法から回復過程まで分かりやすく解説します。
バストの垂れ(下垂)はなぜ起こるのでしょうか?
バストが垂れ下がる現象を、医学的には「乳房下垂(breast ptosis)」と呼びます。簡単に言うと、乳房組織や皮膚の弾力が低下し、バストが下方へ伸びて垂れ下がった状態のことです。
主な原因は大きく4つに分けられます。
妊娠と授乳:授乳期にバストが一時的に大きくなり、授乳終了後に急激にボリュームが減少して皮膚が余ってしまう場合
急激な体重減少:短期間で10kg以上痩せるなど、皮膚の弾力が追いつかない場合
加齢:30代半ば以降、コラーゲン(皮膚のハリを保つタンパク質)が減少して自然と下垂する場合
重力と支持組織の弛緩:クーパー靱帯(バスト組織を上から支える線維組織)が伸びてしまい、バストが下垂する場合
下垂の程度は、乳頭の位置を基準に判断します。乳頭がバスト下のシワ(乳房下溝線)と同じ高さ、あるいはそれより下にある場合は、手術による矯正が適応となる状態と考えられます。

乳房吊り上げ術とは?
乳房吊り上げ術(mastopexy、マストペクシー)とは、下垂した乳房組織と皮膚を再配置し、余分な皮膚を切除してバストの位置と形を整える手術です。インプラントを挿入する豊胸術とは異なります。吊り上げ術の目的はボリュームを増やすことではなく、現在の乳房組織を引き上げ、美しい形に整えることに重点を置きます。
もちろん、2つの手術を同時に行うケースもあります。下垂が著しく、さらにボリューム自体も少ないと感じる方は、インプラント挿入と吊り上げ術を併用することもあります。この場合、術前計画が複雑になるため、専門医と十分相談した上で決定する必要があります。
乳房吊り上げ術の要点は主に2つです。第1に、乳頭と乳輪(乳頭周囲の着色部)を適切な位置へ引き上げること。第2に、伸びてしまった皮膚を取り除き、バストがハリのある丸い形状をキープできるようにすることです。
術後のバストは高い位置に戻り、乳頭は正面を向くようになります。服を着たときのシルエットも一段と自然で美しく仕上がります。
手術法の種類 - 下垂の程度によって異なります
乳房吊り上げ術は、下垂の度合いや切除すべき皮膚の量によって切開アプローチが変わります。切開線がそのまま傷跡の位置となるため、手術前にしっかり説明を受けておくことが大切です。
ドーナツ法(Periareolar、乳輪周囲切開)
軽度の下垂に適応されます。乳輪の縁に沿ってのみ切開するため、傷跡が乳輪の境界線に隠れやすいのが特徴です。ただし、矯正できる範囲に限りがある点がデメリットです。
垂直切開法(Lollipop、ロリポップ切開)
中等度の下垂に適応されます。乳輪周囲の切開に加え、乳輪下部から乳房下溝線まで垂直に下りる切開を加えます。切開線はアルファベットの「I」字型(あるいは棒付きキャンディ型)になります。矯正効果が高く、傷跡の範囲も比較的抑えられます。
逆T字切開法(Anchor、アンカー切開)
重度の下垂に適応されます。乳輪周囲+垂直ライン+乳房下溝線に沿った水平切開を行い、イカリ(アンカー)の形状になります。最も多くの皮膚を除去できるため矯正効果は最大ですが、3つの手法の中で傷跡の範囲も最も広くなります。
どの手法が適しているかは、乳頭の位置、余剰皮膚の量、乳房組織の弾力性などを総合的に評価して決定します。希望の手術法をご自身で決めるのではなく、現在の状態に合った方法を専門医が診察して判断します。

手術前に確認しておくべきポイント
手術を受けると決める前に、必ずチェックしておくべき項目があります。
健康状態の確認
血液検査、乳腺エコー(超音波)やマンモグラフィ(乳房X線検査)を通じて、乳房組織に異常がないかをあらかじめ確認します。術前の健康チェックは、安全な手術を受けるための必須プロセスです。
喫煙の有無
喫煙は傷の治癒を著しく遅らせます。血流が妨げられるため、手術部位の組織壊死(組織が壊死してしまう現象)のリスクが高まります。手術の少なくとも4週間前からは禁煙が必要です。
妊娠の予定
今後、妊娠や授乳の予定がある場合は、手術時期を慎重に検討しなければなりません。授乳後に再びバストが下垂する可能性があるため、出産と授乳をすべて終えた後に受けることが推奨されます。
現実的な期待値の設定
乳房吊り上げ術は下垂を改善する手術であり、完全な左右対称や10代・20代前半のバストに完全に巻き戻す手術ではありません。傷跡は時間の経過とともに薄くなりますが、完全に消えるわけではありません。手術結果に対して現実的な期待値を持つことが、術後の満足度を高める鍵となります。
術前カウンセリングで「どんな結果を希望されますか?」と尋ねられた際、具体的に答えられるようにしておきましょう。単に「綺麗になりたい」と伝えるよりも、「乳頭の位置を上げたい」「丸みのある形に整えたい」など明確であるほど、医師との意思疎通がスムーズになります。
術後のダウンタイム・回復にはどれくらいかかる?
乳房吊り上げ術は全身麻酔または静脈麻酔(鎮静麻酔)下で行われ、手術時間は通常2〜3時間程度です。
術後1週間
手術部位に腫れ(浮腫)や内出血が生じるのは正常な反応です。患部を適切にサポートする専用のサポーターブラ(医療用ブラ)を着用します。激しい動きは避け、腕を頭より高く上げる動作は控えてください。術後1週間前後に抜糸を行います。
2週〜4週
腫れが目に見えて引いてきます。軽い日常生活は可能ですが、運動や重い物を持ち上げる動作はまだ控える必要があります。傷跡の部位にシリコンシートや傷跡ケア用の軟膏を使い始めます。
1ヶ月〜3ヶ月
大半の腫れが引き、バストの形状が落ち着いてきます。軽い有酸素運動から徐々に再開可能です。傷跡は最初は赤く盛り上がって見えることがありますが、月日の経過とともに徐々に薄くなっていきます。
6ヶ月以降
最終的な仕上がりを確認できる時期です。傷跡もかなり目立たなくなり、バストの形も安定します。傷跡が完全に成熟(安定)するには、通常1〜2年程度かかります。
術後の感覚変化(一時的な感覚鈍麻や過敏など)は一時的なケースが多く、大半は数ヶ月以内に回復します。ただし個人差があるため、経過は必ず担当医と共有するようにしてください。

おわりに - 慎重な決断が最善の結果につながる
乳房吊り上げ術は、バストの下垂によるコンプレックスや日常の不便さを解消し、前向きな気持ちを取り戻すのに非常に有効な手術です。しかし、すべての外科手術がそうであるように、十分な情報収集と専門医によるカウンセリングが最優先です。
下垂の程度、全身の健康状態、将来の妊娠計画、傷跡への許容度など、様々な要素を総合的に検討しなければなりません。1ヶ所のクリニックですぐに決めるのではなく、複数の専門医の意見を聞き比べるのも良い選択です。
最善の手術とは、ご自身の状態に最も適した手術のことです。他人に良かった方法が、必ずしも自分にとってベストであるとは限りません。必ずご自身の状態を正確に診断してもらった上で判断することをお勧めします。
手術を検討されているなら、形成外科や美容外科の専門資格を持つ信頼できる医師にご相談ください。的確な診断と十分な説明、そして現実的な期待値に基づいて判断することが、心から満足できる結果を得るための最も確実な近道です。
よくある質問
乳房吊り上げ術と豊胸術の違いは何ですか?
乳房吊り上げ術はバストのボリュームアップではなく、下垂した乳房組織と皮膚を引き上げて再配置する手術です。一方、豊胸術はインプラントや脂肪注入を用いてサイズを大きくすることが目的です。下垂と同時にボリューム不足も気になる場合は、両方の手術を同時に併用することもあります。
下垂の程度によって切開方法はどのように決まりますか?
下垂の度合いと切除すべき皮膚の量に応じて専門医が適切な術式を決定します。軽度の下垂なら乳輪周囲のみを切開するドーナツ法、中等度の下垂には垂直切開法を行います。下垂が著しく余剰皮膚が多い場合は、逆T字切開法が適用されます。
手術前に必ず禁煙しなければならない理由は何ですか?
血流障害による組織壊死のリスクを避けるため、手術の少なくとも4週間前から禁煙する必要があります。タバコに含まれる有害物質は傷の治癒を著しく遅らせ、合併症の可能性を高めるため、安全な手術のために禁煙指導は必ず守らなければなりません。
今後、出産や授乳の予定がある場合でも手術は受けられますか?
可能な限り、出産と授乳をすべて終えた後に手術を受けることが推奨されます。術後に再び妊娠・授乳を経験すると、バストのボリュームが急激に変化して再下垂するリスクが高いため、手術時期は慎重に決めることが望ましいです。
術後の日常生活への復帰と傷跡の回復にはどれくらいかかりますか?
軽い日常生活は2〜4週間後から可能で、傷跡が完全に落ち着くまでには1〜2年程度を要します。抜糸は術後約1週間前後で行われ、6ヶ月以降に最終的なバストの仕上がりを確認できます。一時的な感覚の変化も数ヶ月以内に回復することがほとんどです。